新井素子『グリーン・レクイエム』”研究者”はどこまで人間か【書籍紹介】


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新井素子『グリーン・レクイエム』”研究者”はどこまで人間か【書籍紹介】

グリーン・レクイエム表紙

今回の記事は理科にまつわる小説について書こうと思います。新井素子さんのSF小説『グリーン・レクイエム』(講談社文庫、創元SF文庫)を紹介します。

あらすじ

主人公島村信彦は幼いころ、地元の山奥で鳴り響くピアノの旋律の中「緑色の髪をした少女」に出会い、生物学者としての道を選びます。そして、その少女三沢明日香との再会を果たした信彦ですが彼女にはある秘密がありました。そして、その秘密がばれ、追われることになった明日香と、島村を待ち受ける運命とは・・・。

と、簡単にあらすじを書いてみました。この話自体は文庫本にして130ページ足らずの中編です。読書の遅い人でも1週間ほどで読み切ってしまうのではないでしょうか?「普段SFはちょっと・・・」って人や普段あまり本自体を読まない人など年齢を問わず、新井素子女史独特の読みやすい文体で物語に引き込まれます。

 

私かこの本に出会ったきっかけ

私がこの本に出会ったのは小学校高学年の頃だったと思います。そして私が将来の職業として「研究者」を意識し始めたのもこの本がきっかけでした。もしかしたら当時から、そう今でも、私は「島村信彦」という人物に憧れて研究者を目指しているのかもしれません。次の段落では物語の核心に触れますので閲覧は自己責任でお願いします。

私はこの物語にある大きなテーマとして「研究対象に恋をしてしまった研究者の葛藤」があると思います。明日香は髪に含まれる葉緑体から光合成によりエネルギーを作り出す異星人です。だからこそ、大学に追われサンプルを採取されてしまいます。そう、研究者から見れば彼女は「研究対象の一個体」に過ぎないのです。しかし、信彦はあくまで彼女を「人間」をして「女性」として扱います。そして明日香のことを全力で守り抜こうとします。

 

この差はなんなのでしょうか?

 

よく「研究者は研究が恋人だ」なんて決まり文句はよく耳にされると思います。信彦は間違いなく自身の研究を愛しています。それと同時に明日香も人間として愛しているのです。研究をとるのであれば信彦は明日香を大学に差し出すこともできたはずです。でも彼は明日香を助け出し駆け落ちを試みます。私はこの人間らしさそして真摯に向き合う姿勢がとても好きです。そして何度も言いますが私のあこがれでもあります。

  

私は何か嫌なことがあったり壁にぶつかったりしたときはいつもこの本を開いていました。皆さんもこの本から何が感じ取っていただければ紹介者としてこれに勝る喜びはありません。是非、お手に取って読んでみてください。そして何か思うところがあったらこの記事のコメント欄に書き込んでくださいね。

 

あとがき

実はグリーン・レクイエムには続編「グリーン・レクイエムⅡ 緑幻想」があります。書籍「グリーン・レクイエム」は今のところ講談社文庫と創元SF文庫の2つが手に入りやすいですね。(写真は創元SF文庫のものです)「緑幻想」は後者の方に収録されていますが「緑幻想」はグリーン・レクイエムからかなり時間が経って書かれた関係もありかなりハードSFですので読むには少しハードルが高いと感じる人がいらっしゃるかもしれません。なので講談社の方は新井素子さんの作品の一つとして「グリーン・レクイエム」を楽しみたい方(「緑幻想」を読まなくても「グリーン・レクイエム」の良さは十分に伝わると思います。)はほかの話も含まれている講談社版を、より深く「グリーン・レクイエム」をより深く解釈したい方は創元SF文庫版をお薦めいたします。 

この度はじめて書籍の紹介を書かせていただきました。なかなか難しいものですねww。今後とも機会があれはこんな感じで紹介していきたいなと思います。また、この本紹介してほしい!!等々ありましたらコメント欄で教えてくださいね。

 

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