ブタの眼球を解剖してみよう!


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ブタの眼球を解剖してみよう!

 ブタの眼球の解剖道具

[注意]記事にブタの眼球を解剖した画像が含まれます。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。 

生物の授業で目の構造の学習をした後に、ブタの眼球を使って簡単な解剖実習を行いました。その様子を記録しました。

ブタの眼球は感覚器官の学習に有用な教材。

中学理科2年や高校生物では、感覚器官(受容器)の代表として目の構造を学習します。しかし、図だけではいまいち理解しにくいところがあるようです。 

意外にも、目の中に光が入ってそれを網膜が受け取るということが分からず、目から視線(?)が飛び出しているという誤概念をもっている子もいます。「『目からビーム!』は出ないよ!」というと教室に笑いが起こるものの、図だけではすぐに忘れてしまいます。目の遠近調節なども理解するのが少し難しいところです。

そこで、ブタの眼球で解剖を行います。すると、図に載っている目の内部構造が比較的簡単に確認できます。

【必要な道具】

  • 解剖皿(解剖マット付)
  • 解剖ばさみ
  • ピンセット
  • グローブ

ブタの眼球の解剖道具

 

ブタの眼球を外部から観察してみる。

下の写真が入手したブタの眼球です。市の食肉検査所から譲っていただきました。 

ブタの眼球

実はわざとお願いして、眼球の周りの皮や眼筋をつけた状態で用意しました。写真の眼球はたまたま瞼(まぶた)もついています。

ブタの眼球を初めて見て全く驚かない人はいません。いきなり解剖するのではなく、屠殺場や食肉の検査があるからこそ食の安全が守られていて、スーパーなどで安心して豚肉が買えるということを説明しておきます。すると多くの人が少し落ち着いてきます。

そのあとは、まずは外からじっくりと目を観察してみます。写真では少し分かりにくいですが、瞳や虹彩がはっきり見えます。また、角膜は非常に透明で柔らかく、強膜(白目の部分)は想像以上に丈夫で固い構造になっている事に気がつくでしょう。

 

眼球の周囲についた筋肉を除去する。

次に、ブタの眼球を解剖します。

まず、解剖ばさみで眼球の周りについている皮膚や眼筋をカットします。 

ブタの眼筋の切除

皮や眼筋それ自体は、スーパーで売っている豚肉と基本的に同じです。引っ張りながらチョキチョキ切っていくと、思いのほかきれいに除去することができます。

下の写真が除去後の眼球です。

ブタの眼球(眼筋なし)

後ろには視神経があります。本来この先に脳があります。

豚の眼球と視神経

 

 

眼球を輪切りに切断する。

次に眼球を輪切りにし、水晶体側と網膜側とで別々に観察できるようにします。

ブタの眼球の強膜切断

解剖ばさみを立てて、切り込みを入れて輪切りにしていきます。

書籍によっては「安全カミソリの刃で」と書かれているものありますが、解剖ばさみのほうが確実だと思います。

なぜなら、強膜がとても固いから。

はっきりいってココが一番大変です。眼球はすべりやすいですからどうしても力が入ってしまいがちになります。メスやカミソリで「手を切らないように」というには少し無理があります。

なんとか輪切りに成功すると、次のような状態になります。ゼリーのようなものはガラス体。右が水晶体側、左は網膜側です。

ブタの眼球の切断後写真

 

眼球の内部を観察してみた。

ブタの眼球の内部(水晶体側)

水晶体側には、中央に水晶体があります。目に入った光は水晶体で屈折して網膜に映ります。また水晶体の周りにはチン小帯、毛様体がはっきりと確認できます。

 水晶体はピンセットでとることもできます。

ブタの眼球から切除した水晶体

水晶体が抜けた穴の部分が瞳孔です。

また、水晶体は新聞紙に載せると字を拡大する事ができます。光が屈折している証拠です。

水晶体(ブタの眼球から切除)

一方、網膜側は次の通り。

ブタの眼球の内部(網膜側)

白い物体が実は網膜。黒い部分は網膜の色素細胞層で、その下に脈絡膜があります。色素細胞層は眼球の中を暗室にしています。瞳の中が黒く見えるのはこのため。

網膜(視細胞を含む部分)はピンセットでつまむだけで驚くほど簡単に脈絡膜が取れてしまいます。ヒトでも「網膜剥離」という症状があり、強く頭をぶつけるといった衝撃で網膜がはがれてしまうことがあります。実は私も裂孔原性網膜剥離が見つかり、治療した事があります。

ただ、色素細胞層と脈絡膜の分離はほぼ不可能ですので、厳密に言うと網膜と脈絡膜の分離は困難と言えるでしょう。

ヒトの眼球には黄斑とよばれる網膜の中心がありますが、豚にはそれがありません。ただ、網膜をピンセットでつまむと、付け根のような部分があります。ここが盲班で、裏側には視神経があることを観察で確認できます。

実際に豚の眼球を解剖する事で、教科書の図だけでは分からないことが理解できるようになります。

 

ブタの眼球で留意すること。

ブタの眼球の解剖をするためにはいくつか気をつけなければならない事があります。

  1. 入手方法と処分方法の確認
  2. 月曜日と火曜日の解剖実習は困難
  3. 遠近調節には深入りしない。

 

①入手方法と処分方法の確認

解剖実習が他の理科の実験と違って特に手間がかかるのが、入手と後始末。これは何度やっても注意が必要です。

私の場合、今回は市の食肉検査所に依頼をして無料で検体をいただきました。ただし数が限られていたり、理科教員もしくは学校関係者が直接取りにいく必要がありました。それが不可能な場合には、解剖検体を扱っている業者や教材屋さんに依頼します。ただし、教材屋さんを仲介すると、ものすごく高価になってしまいます。

また、大量に検体を扱う場合には処分方法も検討する必要があります。検体は感染性廃棄物です。これも入手時に確認を取り、あらかじめ業者に依頼しておく方が良いでしょう。

なお、市の食肉検査所ではブタの眼球の他に血液も斡旋できたようですが、平成25年度年度からは衛生上の理由により不可能になってしまいました。

その他、豚の頭、内蔵、骨などは有料の検体になります。屠殺場に隣接する食肉の卸売業者に問い合わせると確認できます。

 

②月曜日と火曜日の解剖実習は困難

これは豚の他の臓器にもいえることですが、月曜日と火曜日の授業では解剖を行うのは困難です。

これは屠殺場の営業日の理由です。月曜日に屠殺した検体が発送され、火曜日に学校に到着すると考えると、解剖実習に余裕を持って取り組めるのは水〜金曜日です。

火曜日でも午後の授業ならできるかもしれませんが、準備には余裕を持った方が良いでしょう。また、自ら屠殺場から輸送するのであれば月曜日でも全く無理ではありませんが、お勧めできません。

 

③遠近調節には深入りしない。

ヒトの目は水晶体の厚みを調節する事で光の焦点距離を調節する事で遠近調節しますが、その調節方法は哺乳類の中でも霊長類のごく一部。豚などの多くの哺乳類は水晶体を前後させる事で調節されるのではないかと考えられているようです。よって、チン小帯や毛様体を観察しても、遠近調節にはあまり触れない方が無難です。

 

以上、ブタの眼球の解剖の記録でした。

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